6月15日にエリアDでは、午前中に観察実験講座②を実施しました。
今回は皇學館大学教育学部の中松豊先生に『昆虫の自然免疫について学ぶ』というテーマで教えていただきました。
まず、免疫とは何なのか?
免疫とは、生物が体を守る働きのことです。免疫には、自然免疫というものがあり、これは人間と昆虫に共通する免疫です。今回は昆虫を用いて自然免疫の機能の一端を観察しました。
初めに昆虫の血球を観ました。
受講生は、自分でガの仲間のアワヨトウ幼虫から体液を採取してプレパラートを作成し、顕微鏡で観察しました。
皆、「これが顆粒細胞か!」「血球が染まっている!」と熱心に観察していました。
次に、自然免疫の一つである食作用を観察しました。
食作用とは、血球が病原菌等の小さな異物(体内に侵入した自己とは異なるもの)を取り込み消化・無害化する働きのことです。
まず、病原菌の代わりに墨粒をアワヨトウ幼虫の体腔中に注入します。
そして、血球が反応するまで放置した後、先ほどと同じ手順で体液を採取してプレパラートを作成し、観察しました。
受講生は、初めてとは思えないほど上手に墨粒を注入し、食作用をしている様子を観察していました。
最後に、包囲化作用という免疫反応を観ました。
包囲化作用とは、血球が体内に侵入した寄生体等の大きな異物を取り囲み、無害化する反応です。
スタッフが寄生蜂の幼虫をアワヨトウ幼虫に注入する様子を見せてもらった後、受講生は前日に寄生蜂の幼虫が注入されたアワヨトウ幼虫を解剖し、包囲化作用を受けた寄生蜂の幼虫を観察しました。
受講生は、実物を見ながら「(注入する前と比べて)寄生蜂の様子が全然違う!」「色が違う!」「血球が囲っている!」と、とても鋭い発見をしていました。
今回の内容は、高等学校で学習するような高度な内容でしたが、実際に実験や観察を通して学習することにより、容易に理解できたように思います。
子どもたちの観察眼は、鋭く的を得ていてとても驚かされるものでした。今後の皆の実験への取り組みが非常に楽しみです。
午後からは、皇學館大学の澤友美先生に探究活動講座②を『小さい幼虫と大きい幼虫でカリヤコマユバチの卵の数は変化するのか。』というテーマで話していただきました。
この講座では、皇學館大学で飼育しているアワヨトウ幼虫とそれに寄生するカリヤコマユバチという寄生バチを用いて、実験の進め方を学習します。
実験は、
① 問題の所在を考える。
② 仮説を立てる。
③ 実験を行う。
④ 結果を出す。
⑤ 結果を考察する。
⑥ 今後の課題を考える。
の順に行います。
今日の講座は、②「仮説を立てる。」と、③「実験を行う。」を行いました。
まず初めに、物事の問題点を考えて仮説を立てる練習を行いました。
今回は、大きさの異なる2つのアワヨトウ幼虫にカリヤサムライコマユバチを寄生させたとき、卵の数にどんな違いがあるのか考えました。
受講生は、初めて仮説を立てることに苦戦しながらも、これまでの講座で学んだ寄主と寄生者の関係を思い出しながら、たくさんの仮説を立てていました。
仮説を立てた後は、それぞれの受講生が立てた仮説を発表しました。
「一匹当たりの栄養が多いため、小さいアワヨトウより大きいアワヨトウから脱出した寄生バチの方が身体が大きい。」
「一匹当たりの栄養を一定にしたいため、小さいアワヨトウより大きいアワヨトウに寄生する寄生蜂の産卵数は多い。」
受講生は、他の受講生が理解できるように理由をつけるなど、工夫して発表しました。
最後に、大きさの異なるアワヨトウ幼虫にカリヤサムライコマユバチを寄生させました。
受講生は、「自分たちの手で寄生させた寄生バチが脱出する日はいつ?」「早く仮説があってるか見てみたい」
など、次の講座まで待ちきれないという姿が見られました。
いままで学んできたことを生かしながら、実験の仮説を立てることができました。今から、結果を見るのが楽しみですね。