エリアD(皇學館大学):観察実験講座「心臓と構造の動きを観察しよう」が行われました

9月10日(土)、エリアDを対象とした観察実験講座「心臓の動きを観察しよう」が行われました。講師は三重大学の後藤太一郎先生でした。

今回の講座の目標は「脊椎動物と無脊椎動物の心臓の違いを理解する。脊椎動物の心臓の進化について理解する。」であり、心臓の位置や形について知った上で拍動の観察を行いました。観察した動物はミジンコ、メダカ稚魚、オタマジャクシです。

はじめに、心臓について知っていることを学習記録に書きました。受講生のみなさんは「心臓は右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋に分かれている」「血液を全身に送るポンプの役割をしている」等、たくさん書いていました。

次に開放血管系と閉鎖血管系について学びました。エビなどの血管系は動脈と静脈がつながっておらず、全血漿成分が各組織に直接届くつくりになっています(開放血管系)。一方、無脊椎動物でもミミズやゴカイの血管系は心臓→動脈→毛細血管→静脈→心臓と循環しています(閉鎖血管系)。

続いて、人の心臓のつくりについて説明があり、人の心臓の模型を一人1個見ながら気づいたことをまとめました。受講生は「左心室の壁が厚い」「心臓の周りの黄色いものは何だろう」等と書いていました。

次にミジンコの心臓を観察しました。無脊椎動物の心臓は背側にあることを確認しました。観察には、後藤先生が開発したタブレット顕微鏡「ミエル1mm」を使いました。受講生ははじめて見るミジンコの姿に興味津々でした。ミジンコの拍動はとても速いので数えることが難しく、打点法(拍動に合わせて紙に点を打つ)で10秒間の回数から心拍数を求めました。200回以上の心拍数に驚いていました。

次にメダカの稚魚の心臓を観察しました。脊椎動物の心臓は腹側にあり、魚類の心臓は心房が1つ、心室が1つの「一心房一心室」ですが、心室に続いて動脈球という部分があるので、3つの部屋からなるように見えることを学びました。メダカの稚魚の心拍数も測定しました。

最後にアフリカツメガエルのオタマジャクシの心臓を観察しました。両生類の心臓は右心房、左心房、心室でできています。大きな心室の動きをみながら心拍数を測定しました。
最近、無呼吸状態のオタマジャクシに藻類を注射して「光合成で脳に酸素供給」することに成功したという研究が報告されていることの紹介があり、受講生は驚いていました。

心臓は体の重要な器官であることはわかっていても、人の心臓の模型を使ったり、心臓が拍動する様子を見ながら学習する機会は学校ではありません。体の透明な動物を用いて心臓を観察することで、模式図だけでなく本物を見て理解することが大事であることを学んでいました。