10月1日(土)、エリアDを対象とした観察実験講座「物質の状態変化と酸化・還元」が行われました。講師は皇學館大学の勢力稔先生でした。
今回の講座ではドライアイスを用いて物質が状態変化を行う様子や酸化と還元について学びました。
初めにドライアイスのランタンを前で実演してくれました。工程は、3kgのドライアイスの中心を削って溝を作り、その溝にマグネシウム粉末とマグネシウムリボンを入れ、火をつけました。マグネシウムリボンが燃焼し、マグネシウム粉末に火がついたころに、2kgのドライアイスで蓋をしました。その後、しばらく燃焼を続け、静かに消えていきました。火が消えるまでの間「燃えるために必要な酸素に触れていない状態なのに、なぜ燃え続けているのだろう。」という課題について考えました。
その後、燃えた後の灰を割り、灰の表面はグレー色に対して中は黒色であることや、始めに削ったものよりも穴が大きくなっていることを確認しました。その上で、なぜ酸素がなくても燃え続けたのかについて解説がありました。。
ドライアイスは二酸化炭素からできていて、燃え続ける理由はドライアイス(CO2)の中に含まれる炭素(C)が燃えているためであることを学びました。また、酸化とは酸素と化合すること、還元とは酸素を奪われることということも学びました。
次に10円玉をドライアイスに刺したり、スプーンをドライアイスの上においたりすることで、それらが振動する様子を観察しました。これはドライアイスの昇華の実験です。
-79℃のドライアイスと比べて、室温ほどの10円玉やスプーンは温度が高いため、ドライアイスの上にのせたり、刺したりすると昇華が一気に起きます。10円玉が振動するのは、二酸化炭素が一気に気体になることで10円玉を押すためであり、ドライアイスも気体になるためまた押し返します。これが繰り返されることで10円玉が振動します。スプーンも接地面が押されて、別の部分がドライアイスに付いてまた接地面となり押されことが繰り返されて振動します。
次に、中身が二酸化炭素のシャボン玉を作りました。シャボン玉の中身を二酸化炭素だけにすると空気中を漂わず、下に沈みます。これは空気の比重が約1.3g/cm3なのに対し、ドライアイスは約1.6g/cm3と重いためです。また、ドライアイスによってシャボン玉の膜の粘度が増し、表面張力が大きくなるため割れにくくなります。机にバウンドしているシャボン玉を見た受講生は「すごい!」「見てみて!」と驚いていました。沈んでいくシャボン玉を何とか浮かせようと高い位置から落とす受講生もいました。
最後に、液体の二酸化炭素を見る実験をしました。圧縮発火機を用いて、中心の筒にドライアイスを入れ、棒で押して圧力をかけていくと液体の二酸化炭素を観察することができました。あまり見たことがない液体の二酸化炭素に受講生は楽しそうに観察していました。
受講生にとってドライアイスは冷やすために用いることしか知らなかったようですが、ドライアイスを用いて状態変化や酸化・還元について学ぶことができました。