7月15日(土)、エリアDの皇學館大学にて昆虫の遺伝に関する講座が行われました。講師は、皇學館大学教育学部の中松豊先生です。
本講座では、受講生が研究対象として興味をもっているトゲナナフシという昆虫に基づいて、生物の性決定や生殖方法について学びました。
初めに、子が生まれる際に染色体がどのように受け継がれるかについて学習しました。トゲナナフシはメスがメスを産む単為生殖を行う昆虫ですが、人間は父親と母親から46対ある染色体のうち、半分ずつを受け継ぐことで子ができる有性生殖です。このように有性生殖はオスからもメスからも遺伝子をもらうため、多様な遺伝子を子に受け継ぐことができます。しかし、単為生殖であるトゲナナフシは同じ遺伝子を子に受け継いでいくため、クローンが産まれてくることや環境の変化に対応することが難しいと考えることができます。
さらに、学習した生殖方法をもとにトゲナナフシがごくまれにオスを産む理由について考察しました。単為生殖では同じ遺伝子を子に受け継いでいるだけのため、オスという異なる遺伝子を混ぜることで多様な遺伝子を作り、環境の変化にも対応できるようにしているのではないかという仮説を立てました。他に、オスは近親交配を避けるために遠くまで移動をする必要がありメスと比べて活発に活動することも考えられました。
受講生は現在トゲナナフシの珍しいオスに着目し、オスの様子を観察記録しています。なぜトゲナナフシが単為生殖という生存戦略をとったのか、その理由を調べていくにあたって、今回の講座の内容を参考にして、面白い発見ができることを期待しています。