9月2日、三重県林業研究所のみえ森林・林業アカデミー棟で、エリア共通の新企画・イノベーション講座「アントレプレナーシップセミナー」を開催しました。
この講座は7月に実施したSTEAM講座と同様に、今年度の三重ジュニアドクター育成塾から新たに加わった演習講座です。今回のテーマは、「林業・製材業と地域の活性化」。三重県の地域課題に、ビジネスの視点も交えて取り組みます。
講師は、熊野市を拠点に製材業を営む(株)nojimokuの野地伸卓さんと野地良成さん。会場には、連携機関の三重県林業研究所のご協力を得て、今年完成したばかりの、みえ森林・林業アカデミー棟を使用させて頂きました。このアカデミー棟には、nojimokuの製材による木がふんだんに使用されています。ヒノキの良い香りがするとても素敵な会場で、講座が始まりました。
冒頭で野地先生から製材の仕事についての説明を受けた後、受講生たちはグループに分かれて、nojimoku開発の「セーザイゲーム」に取り組みました。
セーザイゲームは、競りで仕入れた丸太から木取り(丸太から材木を取り出すこと)を行い、売り上げを競うゲームです。良い丸太を見抜いてなるべく安く仕入れ、賢く木取りをしないと、高く稼ぐことはできません。競りが進むにつれて受講生たちは次第に白熱していきました。
セーザイゲームで盛り上がった後は、野地先生から製材所の現状と課題についての講義を受けました。
・三重県の山には、A材やS材と呼ばれる、良質な材が多い。
・A材やS材を製材するには高い技術が必要で、製材所の大規模化は難しい。
・とは言え、A材やS材が重宝される和室はどんどん減っていて、製材所は大規模化しないと生きていけない。
・ただし、大規模製材所を三重県に作っても、山から切り出す量は少ないのでうまくいかない可能性が高い。
上記のような製材所の現状について理解を深めたところで、野地先生から受講生たちに課題が提示されました。
「三重県の林業・製材業を活性化するためのアイデアを新たに発明してください」
グループで30分間の議論を行い、様々な角度から意見を出し合って、一枚のシートに考えをまとめていきました。最後に、グループごとに発表を行い、野地先生に講評をして頂きました。
野地先生からは、「皆さんのアイデアには大事なものが多い。いまnojimokuで取り組んでいるようなものもいくつもあって、驚きました。」といった講評とともに、「考えることは多くの人ができる。だけど、一番大事なことは実行すること。」と受講生への熱いメッセージも頂きました。
本講座で経験したことが、受講生たちのアントレプレナーシップ ― 新しいものを生み出す精神 ―に繋がり、今後の研究やその取り組み方に大いに役立つことを期待しています。