エリアA:観察実験講座「キミを変える気象力~異常気象の不思議を知るってワクワクするぞ~」が行われました

7月13日(土)、エリアAの三重大学にて観察実験講座『キミを変える気象力~異常気象の不思議を知るってワクワクするぞ~』が行われました。講師は三重大学生物資源学研究科の立花義裕先生です。

講義の前に、立花先生より「心の底からおもしろいと思える分野に出会うために、今回の講義は気象学を一つの分野として知る機会にしてほしい。」とお話がありました。受講生はこの言葉を念頭に置き、講義に臨みました。

今回の講座は「なぜ鉄板を直接触らなくても熱さを感じるのか?」という身近な事象への問いから始まり、全ての物質はその温度にほぼ比例して赤外線が放出されていること、私たちは赤外線を吸収することから熱さを感じることを学びました。赤外線という目には見えないものについてのお話だったため、イメージがしづらそうな表情をしている受講生もいましたが、立花先生から繰り返し説明を受けたことにより理解が進んだようでした。また、立花先生より「鍋のふたを閉めると下向きにも赤外線が放出されるから温まりやすくなる。」という説明を聞いた後、受講生からは「ああ!そういうこと!」と納得の声が上がりました。赤外線の存在について学んだことにより地球温暖化への理解が深まったようです。

赤外線についての説明を聞く受講生ら

次に、「水や二酸化炭素といった温室効果ガスがなぜ赤外線を吸収するのか?」という問いについて考えました。立花先生より、水分子や二酸化炭素分子にはゆらゆらと動く固有振動があること、この振動が赤外線の動きと同じ周期であるため共振し、分子がより激しく動くことを教えていただきました。分子も目に見えないものであるため難しい話でしたが、立花先生が身体全体を使って分子の動きを表現してくださったため、受講生は楽しみながら学ぶことができました。

身体全体で水分子の動きを表現する立花先生

赤外線が地球温暖化に関与していることを理解した受講生は、 タブレットに取り付けることで赤外線を感知してものの温度を測定できる赤外線カメラFLIR(フリアー)を用いて、野外で身近なものの温度を測定する活動に取り組みました。受講生は、気温を参考に、①アスファルト、②木、③草地、④空、⑤自動車の温度を予想してから測定に取り組みました。測定を繰り返すうちに、アスファルトや自動車は色や材質によって温度が違うこと、空は雲の厚さによって温度が違うこと等にも気づくことができました。教室に戻ってきた後は、予想と実際の温度の違いがなぜ生まれたかを考察し、全体で共有しました。受講生のこれまでの学習や経験より、「白色よりも黒色の方が熱を吸収しやすいから温度が高かったのではないか。」「植物は蒸散をしているから他のものよりも温度が低かったのではないか。」等、自分なりの考察を発表することができました。

赤外線カメラを用いてものの温度を測定する受講生ら

考察を発表する受講生の様子

最後に立花先生より、科学者としての心構えを教えていただきました。「正しいと思われていることを疑うこと」という言葉に受講生らは衝撃を受けている様子でした。受講生たちの今後の研究が一層楽しみになりました。

(文:メンター教育学部4年)