エリアD(皇學館大学):観察実験講座「昆虫の免疫の仕組み」が行われました

9月23日(土)、エリアDの皇學館大学にて観察実験講座「昆虫の免疫の仕組み」が行われました。 講師は、皇學館大学教育学部非常勤講師の奥村雄暉先生です。本講座では、皇學館大学生物学研究室で飼育しているアワヨトウの幼虫を使って、昆虫の免疫の仕組みに関する観察実験を行いました。

はじめに、免疫について学習しました。免疫は体を守る仕組みの一部で、生物の種類によってもっている免疫の種数が異なっています。昆虫とヒトの免疫を比較すると、昆虫は「自然免疫」と呼ばれる生まれながら備わっている免疫のみを持っています。しかし、ヒトは「自然免疫」に加えて「獲得免疫」と呼ばれる、一度体内に侵入したウイルスなどを記憶し、再び侵入してきた際に早く対応できるように学習をする免疫があります。生物の種類によって免疫機能に違いがあることに受講生は驚いている様子でした。

次に、アワヨトウの幼虫の血球が異物である墨粒に対して食作用を示すかを観察する実験を行いました。食作用とは、血球が体内に侵入したウイルスなどの異物を排除する仕組みの一つです。受講生は自分の手で墨汁とアワヨトウの体液を滴下し、プレパラートを作成していました。受講生は、顕微鏡を通して初めて見る昆虫の血球とそれが食作用している様子を見て感動していました。

続いて、奥村先生によるアワヨトウの幼虫の血球が包囲化作用を示すかの演示実験が行われました。異物としてカリヤサムライコマユバチという寄生バチの幼虫をアワヨトウの体内に注入し、カリヤサムライコマユバチ幼虫の注入前後の様子を比較することで包囲化作用を示すかについて観察しました。注入後のカリヤサムライコマユバチ幼虫は黒くなっており、包囲化作用を示していることが分かりました。また、寄生バチの幼虫が寄主体内で免疫を受けない仕組みが非常に複雑な仕組みであることから受講生は困惑した様子でしたが、メモをとり一生懸命聞く姿が見られました。

最後に、ヒトと昆虫の共通点と相違点について学習しました。種類は異なりますが似た働きをする血球やタンパク質を持っており、昆虫を研究したことでヒトにも同じような機構があることを発見し、ノーベル賞を受賞した実例があることを学びました。

受講生は珍しいトゲナナフシのオスに興味を持っています。トゲナナフシの研究をすることで、ヒトに関する研究も進むかもしれません。受講生の今後に期待されます。

(文: メンター教育学部4年)