7/13(土)、エリアBの伊賀研究拠点にて、観察実験講座4「忍者の火器」が行われました。講師は、荒木利芳先生です。
初めに、講師の先生より、5年前に三重大学と伊賀市が忍者について科学的に解明しようと研究が始まりました。本日の講義は、忍術の秘術が書かれている「萬川集海」の火器からお話をすると述べられました。
まず、火薬や火器の歴史、材料等についてお話が始まりました。
火薬は、中国(春秋戦国時代)で、不老父子の霊薬を造っているときに偶然に生まれたと聞き、受講生は武器として発明されたのではなく、薬から始まったことに驚いた様子でした。火薬の発明から鉄火砲、火縄銃へと進化し、中国(元の時代)からヨーロッパに伝わり鉄砲や大砲に発展しました。日本においては、13世紀の元寇で元軍が裂弾(鉄砲)を用い日本軍が苦しめられ、その後、日本でも鉄砲を製造することになったと学びました。
次に、物体が燃焼するための3つの要素や引火点と2発火点の違いを学びました。
【3の要素】
・燃えるものがあること(燃焼の材料;木、紙、炭、火薬など)
・燃やすものがあること(酸化剤、空気中の酸素、硝酸塩など)
・燃える温度になること
引火・・・可燃性物質を加熱し、これに火を近づけたとき火が付く
発火・・・物質を空気中で加熱するとき火源がなくとも火が付く
さらに、火薬を作る材料で、硝石は、日本でほとんど採れず、古くから輸入していたことや、16~17世紀にかけて世界で最も鉄砲をたくさん持っていたのが日本だったことをきき、受講生は驚いていました。
後半は、「萬川集海」に書かれている火器について再現実験を行ったDVDをみながら詳しく説明を受けました。
- 「萬川集海」には、材料に炭、灰と記されているため、炭と灰を使って実験を行った。
- 火薬は、とても危険で扱うには、免許が必要である為、花火師の方にお願いし実験した。
- 硝石の量が少なく、燃えないこともあったが、今回は「萬川集海」に忠実に行った。
※花火師の方から、すみの事を灰というと教えていただき、「萬川集海」の炭と灰は、どちらも炭のことだと確認できました。
講師より、忍者の任務は戦うことではなく情報を雇い主に持ち帰ることにあるので、命を落としたり負傷しないように火器も使用していたと聞き、受講生は忍者にますます興味を持ったようです。